今の課題を乗り越えられる「スイッチ」
受験シーズン真っただ中ですね。
以前、私は高校受験を控えた中学3年生の女の子に、直前の夏休みから英語と数学の家庭教師を引き受けてしまったことがありました。
(なんだか、文章から「えらく大変だった…」とにおわせていますが…(^^ゞ)
国語と理科は点数が安定して、大抵のテストで70点くらいは取っているのですが、
中学3年生の夏の時点で、英語と数学は20点台~40点台と散々だったのですよ。
家庭教師の初日に「どんな感じ?」と以前のテストなどを見せてもらい、
何がわかっているのか?どこが苦手なのか?なんていう課題を見つけるために聞いてみると…、
英語の単語は読めてもかけなくて、数学は計算ができても図形と文章を読み解くのが苦手で、
用意していた問題集を見てもらうと、「こういうのが分からない…(/ω\)」と教えてくれました。
「…それ、2年生の復習やん…(^_^;)」
そうして、英語は1年生から、数学は2年生から週2回と、長期休暇は補習付きで、超特急でやり直しをしていくことになりました。
お母さんからは「公立高校でないと、弟もいるので費用面で大変で…」と言われていて、
高校受験には内申点の数字も必要なので、学校のテストの点数を上げるための、定期テスト対策もガッツリやっていきました。
私も理解してもらうための「分解作業」と、「問題集をさかさまから見て説明ができるように」解きまくっていましたよ。
…結果、私立の併願も受かって公立高校に入ることができました!
ところが、そこまでに問題が…
目的は公立高校に入ることだったはずが、私立に受かると「これで高校生になれる!」と一安心してしまって、
「やる気なし状態」になってしまったのです。
お母さんからも「どうしよう…」と心配されて、1週間時間を置くことにしました。
周りの友達を見てもらい、私学に受かっても勉強を続けている友達と、私学一本で気持ちが緩んでいる友達を冷静に見てもらいました。
どちらの方が自分の目標に進めるのか?自分の進みたいのは私学にあるのか公立にあるのか?を考えてもらいました。
これほど詰め込んでしんどい勉強をしてきた先の目標は何だったかを振り返ってもらいました。
1週間後には勉強を再開し始めて、単語帳は変わらず持ち続けて、問題集も解きまくってくれました。(戻ってきてくれてよかった…)
人生をかけた決断には、本人が腹落ちしないと、目標まで進めるかどうかはわかりません。(特に期限付きな場合は焦りますね…)
リスクマネジメントの場面でも同じようなことがあります。
現状を見て「リスクを洗い出す」とか、課題を整理し「役割分担」とか、
生き残るために「突き進め!」と、リーダーが引っ張ることも必要です。
しかし、命がかかっている場合、恐怖心が体を硬直させてしまうので、
ついていく人がそのリーダーを「この人を信じる!」と思えているか、
行動する理由に腹落ちしているか、など…、
無数に「動きたくない理由」を考える頭に変わってしまうのです。
本人の中に「動け!」のスイッチがあって、子供の場合は「力づく」で引っ張って逃げることもできますが、
大人になると、周りを巻き込んで危険になることもあります。
リスクマネジメントを進めていく中でのネックは、
この「動け!」のスイッチを押してくれないとスピードよく動いてもらえない…
という現象をどう乗り越えるか。です。
色々なチェックリストを用意したり、理詰めで説得しても、
行動の「ボタン」を押してもらうには「今までの積み重ねてきた信頼や経験」と「自分をコントロールするマインド(冷静さとか決断力とか)」が大事になります。
緊急事態を乗り越えられるためにいろいろ訓練もすると思いますが、
最終的な「スイッチ」を押してもらうための工夫が必要なのです。
そんなことを、この冬の時期になると、過去の震災を振り返り、
受験生の心理と似てるところがあるな…と思ってしまうのでした。