第7話 お客様が期待する事業承継
事業承継で社長が考えていく課題に「どうやって後継者を決めよう」とか「資産を引き継ぐときのリスクは何か?」にフォーカスされることも多いと思います。
この部分を丁寧にしなければいけないことは間違いないのですが…
⑴ お客様の望む未来
地域密着型で事業をしてきたところが一番気にしなければいけないのは「お客様が望んでいること」ですね。
地域のお客様が選んでくれることが事業を継続していくために必要な視点です。
その感覚が、社長と後継者で「ズレ」ないようにしないといけません。
それが、技術を磨くだけで選ばれる基準に達するわけでもなく、人当たりが良いだけでも選ばれないことは分かると思います。
事業承継には「お客様が何を期待しているのか?」を考えて、後継者には「その期待に応えられるのか?」も考えてもらわなくてはいけませんね。
⑵ 従業員の居心地
さらに、地域密着型の事業所で働く人は、多くが事業所の近くから通勤していると思います。
つまり、従業員の家族も含めて、その事業所のお客様になるでしょうし、その人たちも生活をするうえで、居心地よく生活できる「評判の良い事業所」であってもらいたいと願っているはずです。
(家族が勤めているところの評判が悪いと居心地はよくないですよね…。)
事業承継には、社長と後継者の考えや、社長の家族との利害関係だけではなく、従業員や地域の方に選んでもらえる事業所であり続けなければいけません。
⑶ 地域密着型事業のリスクには…
事業承継を考えるきっかけには「高齢になった社長の交代」が多いと思いますが、地域密着型であれば、地域の人たちも年を取っていくはずですね。
以前にこんなことを聞きました…
何十年も通った馴染みの飲食店の大将に「もう頻繁に来ないでほしい…」と言われた高齢の常連さん。
なぜかというと、高齢になるとそんなに食べないし、お酒も飲まない。つまり若者に来てもらわないと売り上げたなかなか上がらない。ということなんですね。
大将は年を取り、後継者に引継いでもらいたいが、常連さんばかりで売り上げが上がらないと引継いでもらうことに気が重く、売り上げを魅力的にするために、若者のお客さんに変わってもらわないといけないそうなんですね。
でも、地域の方々も年を取っていくので、新たな事業戦略が必要ですね。
その一つが、「顧客層を変える。」だったのかもしれませんが、お客さんに「来てほしくない…」というのも、寂しいものですね。(多分、本気じゃないんでしょうけれど…(p_-))
地域密着型で、住民も年を取ることの対策も、事業承継の時には考えないといけません。
⑷ お客様を変える?自分が変わる?
お客様の年齢層が変わっていくと、その都度選んでもらえるように「時代に合った選択」をし続けなくてはいけないのでしょうか?
そんなことをすると、商品もどんどん変えていく必要があるかもしれませんね。
しかし、「そのままがいい」と、安定感のあるものを作り続けることも地域密着型には「根付く」意味でも必要ですね。
今では、お客様のいる地域を広げていくことも「モノづくり」であればネット販売ができるでしょう(生ものでも通販で買える時代ですものね)
しかし、対面でしかサービスを提供できないところはどうでしょうか。
歯医者さんだとか、理髪店や美容院(チョット言い方が古いかも…(^^ゞ)、介護サービスももちろんですし、医療もオンライン診療がありますが、やはり対面診療をしてもらうほうがいいと思うのです。
そのようなところは、「この地域の人はどうなってほしいのか?」という気持ちをずっと引継いでいってもらいたいですし、そこがズレていると事業承継後も「選ばれる事業所」にはならないかもしれません。
お客様が「無くなってほしくない」と思われる事業承継を成功させるために、「地域の人にどうなってもらいたいですか?」という質問も私はしていきます。
事業承継はバトンタッチ後に生き残ることも含めて準備が必要なのです。
それでは、今日はここまで。

