第8話 創業者にかなわない理由と、後継者が先代を超えるとき
私が起業したときに出会った女性経営者の方から
「はじめは自分で全部やってみる!」と教わりました。
「お金がなくて時間がある」起業したての頃は、
「人に任せた時の価値を知るために、まずは自分でやってみないと分からない」ということでした。
「お金を払ってでも得意な人に任せて時間を大事にしなさい」
という人もいたけれど、
それは、最初のステップではないのです。
⑴ 創業者の基準は「自分」
最初は自分でやっているから、人に任せたときの
「良い出来なのか、悪い出来なのか」「どれくらいの価格なら納得できるのか」を
判断できる基準が自分の中にできるのです。
何でもかんでもお金を払って人に任せて、人が決めた「質」や「価格」で商売をしない。
それができると、自信をもって決断ができるのです。
会社の創業者は誰もがそのようなスタートをしているのだと思います。
だから決断力を信じ、ついてくる従業員もいて、後継者にはかなわない貫禄があるのだと思います。
ただ、「自分の目利き」が鈍らないように、時代に沿って自分の基準も更新していかなくてはいけません。
周りの人が「この人で大丈夫か?」と離れていかないように、その仲介役にフォローしてくれたり、「鈍ってきましたよ…」と助言してくれる「右腕」となる人が必要になります。
会社規模が大きくなれば、一人では更新作業も追い付かなくなります。
その時に「お金を払ってできる人に任せる」ということになるのだと思います。
⑵ 創業者はエジソン
エジソンは「私は失敗をしたことは無い。ただ、うまくいかない方法を見つけただけだ。」と言っていた話は有名です。
事業を立ち上げて、今に繋げてきた創業者も同じような感覚でやってきたのだと思います。
「あの時の失敗があったから、今に繋がっている。」ということもあるからきっと
「失敗した人」を許すこともできるのだと思います。
「親父は自分の失敗を認めない!」といって腹を立てる後継者もいるけれど(私もそうかもしれない…(^-^;)
実は、その失敗が今に活かされているのだとしたら…、「失敗なんかしてない」と言われるのも理解ができますね。
ただ、「失敗した一点だけを見るのではない。」と、そう教えているのかもしれません。
ギャンブルには適さない考えですが…(^^ゞ
⑶ 後継者が創業者を超えるとき
事業を続けられる基盤を作り上げた創業者には、今につながる人脈や業務経験もかなわないと思います。
しかし、創業者も後継者にかなわないところがドンドン出てきます。
新しい設備の使い方を身に着けるスピードだったり、情報量の多い中で必要なものを見つけ出す力や表現力、発信力など。
新しいものへ挑戦するバイタリティもすでに超えているかもしれません。(気力は負けてないのですが、体力が足を引っ張ったりしますね(^-^;)
世代交代(事業承継)とは、「時代に合わなくなったものを新しくする」というだけではなく、会社のために「融合させて進化させる」ことで、生き残るための稼ぎ方ができて、その時代に起こる突発的なことにも対応し、適応できるようにするための作業なのです。
後継者として子供が継がなきゃいけないわけではなく、親族以外の第三者の方が「融合させて進化できる」のであれば、会社にとって良い選択なのだと思います。
後継者は先代社長を超えていくことを期待されています。
しかし「自分の目利き」とは違う基準であると、どう腹落ちさせていくのかに苦労するかもしれません。
時代に合っていない基準であれば「時代に合った目利き」を社長に納得させられた時に、社長は
「こいつにはかなわないな…」とバトンを譲る決意をするのでしょう。
また、事情があって引継ぎのための時間がない場合もあります。
後継者は「自分の目利き」を調整する優先順位を下げて、物理的な移動を進める場合もあります。
会社を止めないで走り続けさせるための選択肢は1つではなくて、バトンタッチにどれくらいの時間が取れるのかもそれぞれ違います。
「うまく融合させていく」ことは周りに抵抗が少なく良いのだと思いますが、
「一旦そのまま引き取る」と決断することも、後継者には「自分に操縦できる見通しが立っている」ということなのだと思います。
その覚悟が後継者にできたとき、社長が後継者にかなわなくなっているときなのかもしれません。
それでは、今日はここまで。