事件や事故は振り返るほうがいいのか…教頭先生に聞いたこと。
大阪教育大学付属池田小学校の事件から15年経ったとニュースで見たとき、ふと思い出しました。
私の子どもが通う小学校も約2年前に衝撃的な事件があり、今年、加害者の死刑も確定しました。
学校では、運動会や音楽会など、ことあるごとに「少女の犠牲を忘れないで…」と話をされました。
昨年、事件から1年を過ぎたとき当時の教頭先生と災害心理について話す機会があり、「子どもたちには教訓として忘れずに時折振り替えることが必要」なのか、「早くつらい事件を忘れるように働きかける方がいいのか」について30分ほど話をしました。
私は「振り返らずに早く忘れる働きかけが必要だ」と思うことを話しました。それはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こさないためなどにも大切だと思うからです。
しかし学校のあつかう「教育心理」というものは「どうすれば恐怖心をもった子どもたちを救えるのか」という「臨床心理」とはチョット違っていました。
学校とは社会の中に存在しているものであり、「すべてなかったことにするわけにはいかない」という立場もあるということ。
そして「いかに、つらいところから立ち上がっていくのか」を生きていくための教育としても目をそむけてはいけない事なのだということも教えてもらいました。
私の子どもの学校では(おそらくどこでもあると思いますが)スクールカウンセラーがいて、事件後や振り返りをさせるときは朝から校内を見て回り、きちんと「臨床心理」側のフォローもしていたようです。
しかし、外から見て異常が分かる程度であれば、かなり心配な様子だと思うし、学校にいるときよりも、夜1人で寝る時などに恐怖を思い出す症状が出ることを考えてはいないようで、困ったものですが…(p_-)
やはり、この考えの違いは保護者からの申し立てにもあって「早く忘れさせて」という意見と「子供の犠牲を決して忘れてはいけない」という意見も学校には押し寄せてきたことも知りました。(全くの子どもたちとかかわりのない人や遠い地方からも電話もあったそうです)
この時は教頭先生も「どちらの意見も正しくて、どちらも取り入れなきゃいけない事にすごく苦しかった」と話されました。
子どもが事件や事故からどのような影響を受けて、どんな反応が出てくるのかも家族にとっては「危機管理」として、対策を知っておかなくてはいけません。
そして、学校ではどんな対策を取られているのかも知っておかなくては家族の策だけ用意してもいけません。
付属池田小学校の15年経ったというニュースから思ったのは、これから私の子どものいる小学校でも〇年経ったという区切りに振り返りがあるのだとしたら(1年目はありました)、その話を聞いた子どもたちには、どういう症状が起こり得るのか、「怖い」とだけしか受け取められない場合は、どうすればそれを乗り越えられるのかを予め知っておかないといけないなと考えさせられました。まだ、事件をすぐ近くで知っている子どもたちが卒業するまでにあと3年半もあります。
私たちの子どものころに比べると、(○十年前になりますが…)今は子どもにとって、うまく対処できないほど心に(脳に)焼き付いてしまうこわい事件などが多くありすぎるなと感じ、保護者も時代に合わせて、スクールカウンセラーのような精神的なサポートまでできる必要があるのかなと思いました。
結局は大きな木の幹のようにすべてを包み込むように「で~ん!」と構えておくことなんだと思いますが…

