神戸市にある障害者支援学校に行ってきました。
ある神戸市の障害者支援学校に防災についての体制や、生徒たちの防災教育、そして子どもたちの様子などについて話を聞かせていただきました。
とても大きな支援学校で、生徒は幼稚部から高校生まで総勢215人いて、先生は100名以上いるそうです。
肢体障害と知的障害のお子さんが主に在籍しています。
ここでは、火災訓練や地震を想定した訓練の年2回行われます。
しかし、通常の訓練は出来ないご苦労もされていました。
非常用ベルの音でパニック症状が引き起こされたり、聴覚がとても敏感で、ヘッドギアをしているお子さんもいるため、先生方が判断するだけではなく、子どもたちの保護者にも個別に訓練の方法などを伝え、心配事を調査しています。
開校初年度はその調査のためベルを鳴らさないで訓練をされていて、2年目からも色々な障害のある子どもたちを一緒に同じレベルの訓練は出来ないと判断され、各クラス、学年ごとに(何日もかけて)避難訓練をするようです。
やはり、子どもの中にはスケジュールに無いことを受け入れることが出来なくパニックになることもあり、訓練も「無理のない程度に」進めていき、体が動かなくなったら最後までさせなくても少しずつ慣れていくことをサポートするようにしていました。
みんなの様子をみんなで知っていくために体育館ではそれぞれの障害の子どもたちが避難する方法を理解しあう学びの時間もありました。
ステージに上がってそれぞれの身の守り方を披露していくのです。そんなことから互いの障害の特徴やレベルを理解をして一緒に生活して、協力し合うという気持ちも持つことが出来るのでしょう。
最近建てられた学校で、指定避難所にもなっているため、「地域の方々が流れ込んできた場合は大丈夫ですか?」と尋ねると、地域の方の交流を密にしていて、毎週、喫茶デーを設けてお茶を飲みに来てもらったり、農園デーを設けて学校の畑で採れた野菜を買いに来てもらったりしているのだそうです。「トマトは人気で完売続出です♪」と防災担当の方もうれしそうでした。
この学校ができた当初人数も今のように多くなく、地域の方から子どもたち全員に手作りの防災頭巾をいただいたそうです。そして、実物も見せてくれました。
しっかりと分厚く、イスにもつけられ座布団にもなるようなものでした。
今は、その時からいただいたものを引き継いで訓練の時に使っているようです。(座布団には使っていませんでした)
学校からまた違う場所に避難する方法も子どもたちには経験させていて、火災訓練の時は消防署の方も来られ、地域の方も一緒に訓練します。
学校外に出て近くの公園まで移動することを含めた避難訓練の時は地域の方が道に出て誘導するポイントに立っていてくれるそうです。
このような地域に溶け込んだ学校なので、避難時の知らない人が学校に飛び込んできても、子どもたちのなかでは受け入れやすくなっているのかも知れません。
まだ本当の災害を考えたときに、先生方の連絡体制が甘く感じられたことや、また引き渡し訓練もされていないこと、そして何より、「神戸市のマニュアル通り」とか「規則に書いてある…」いう言葉を何回も聞いたので、単にダウンロードして、それで準備はできている。と思われている点が残念ですが…
1つ私が心打たれたお話がありました。
子どもたちは地震が来たら「まず頭を守ります!」と教わっているのですが、「車いすの子どもたち」は机の下にもぐって他の周りの子のように頭を守ることが出来ません。その時、どうするかというと…
先生がバスタオルを持って上からかぶさり、机の代わりになってあげるのだそうです。
普段の生活の中で、幼児を守るお母さんたちも、このように突然何かの衝撃から子どもを守るためには、上から覆いかぶさることがよくあります。
我が子のように守ってくれる先生がとても素晴らしいと感動しました。

