「医療機関におけるBCPと実践的訓練から学ぶリスクマネジメント」について講演をさせていただきました。
先日「システム監査」に係る方々に「医療機関におけるBCPと実践的訓練から学ぶリスクマネジメント」について講演をさせていただきました。
このような機会をいただき、知識や活動の内容をアウトプットして質問されたり感想を聞くことができると、私にとっても新しい発見があるのでうれしいです。
今回の質問の1つに「自社のBCP<事業継続計画>では、災害が発生したときは特定した『重要業務』に対して社内一丸となってそこに力を注ぐ…」ということになっているが、それとは違ってこの事例医療機関ではいろいろなことを「同時に頑張る!」というイメージだったが、それはどうなんだ?…というのがありました。
業種によって『重要業務が1つではない』ところもあり、もちろん、どの収益が落とせない重要業務なのかも把握しているので、それはブレないようにしている。ということを説明すると、その方は首をかしげていました。(業務にそそぐ力が分散されて復旧に時間がかかると思われたのかもしれませんね。)
医療機関は社会インフラのように災害時にこそ「社会からの期待」に応えなければ廃業する可能性もあり、しかし、この「期待」に応えることすべてが「収益」につながっているわけでもない。ということはあまり知られていません。
災害時には「医者なら助けてくれるのが当たり前」という空気は実動訓練をしたときにもあって、傷病者役のボランティアさんの中にも必ずアンケートに「自分のことをちゃんとわかってくれていない」というものがあるのです。(医者だってちゃんと「どこが苦しいのか」言わなきゃわからないこともありますよ…)
東日本大震災の時に医療機関で行った「トリアージ」が「判断を間違っていたのではないか?」と提訴されている事例もあり、災害時だからといって救助レベルを軽く見定めているわけでもないけれど、穏やかな日々の診察と災害時のバタバタ医療でも同じレベルに「診る」ということが求められている大変さについても、多くの人は「それも出来て当たり前」と考えているのでしょう。
医療機関のBCPの目的はもちろん「医療の提供を継続する」ことで、そのために収益も考えなければいけないのだけれど、実は無駄なことは省いて「目の前の患者を救い、自分の生活も守る」ことに専念できるように「やらないことを決めておく」ためにも必要なんです。
この辺りはどの企業のBCPも同じことになるのですが、ゴールが同じでも通る道が違うと「間違っている」と思われてしまいがちですね。
昨年は自然災害も多かったためか「行政書士」ではなく「危機管理士」としてのお仕事をいただくことも増え、企業の「一大事」に対する備えばかりか、家族の「一大事」にも目が向けられるようになってきたように感じます。
いろいろなお題目をいただき、企業や家族の「リスクマネジメント(危機管理)」のくくりでお話したり、サポートもしますが、どのコンテンツをとっても結局は『人』を守り『人』の能力を上げる仕組みを作っていることになってるな~と思いました。
どんな場面でも自分にとって「リスク」に向かう時は「冷静に行動ができるように自分をコントロールすること」が大切になりますよ。
今後の予定には、個人情報保護の企業研修や一般市民の防災セミナー、医療機関のBCP、ビジネス法務の講師もあるけれど、私も頭が混乱しないように「やらないこと」を決めて自分をコントロールしなきゃいけませんね。

