兵庫県立神戸聴覚特別支援学校での学び
先日神戸学院大学で開催された「防災教育交流フォーラム」に参加しました。そこでプレゼンテーションをした兵庫県立神戸聴覚特別支援学校の先生と生徒さんに出会いました。
このフォーラムで紹介された「防災バンダナ」が欲しくて声をかけてしまいました。そして学校の予備を譲ってくれると言っていただきました。
私は以前から発達障害のお子さんを持つお母さんや要援護者となる方を預かる施設の方との話をする機会があり、ずっと「私に何ができるだろうか」と考えていました。
「災害から避難するのは健常者だけじゃない!」「命を守るのに健常者だけに向かった話をしてもだめだ!」という気持ちもあり、「今日のこのご縁を活かしたい!この学校のこと、生徒さんのことを学びたい!」という気持ちに拍車がかかりました。
プレゼンの中で「障害を持っているから…」という理由で悔しい思いをされたことを聞き、私と同じように「届けたい人はあなたではないのに!」という気持ちになる経験をされていることを知りました。
兵庫県立神戸聴覚特別支援学校には防災プロジェクトチームがあって東日本大震災の被災地へ支援活動をされていました。しかし、今年は行政機関が「障害をお持ちの方はチョット…」と断ったそうです。東日本大震災では聴覚障害のため「防災行政無線」が聞こえなかったり、避難指示の声が聞こえなかったりで、お亡くなりになった方も多いそうです。「過去に支援活動で行っているのに?」「届けたいのはあなたではない!」ときっとこの時言いたかったでしょう。
バンダナを購入するために改めて伺った際に、フォーラムでお会いした中川先生にこころよく…(本当はムリくり)時間をいただいて、災害時の行動計画や普通の教室と違う点など施設の特徴や、生徒たちの「健常者と同じに見える」ことで困った事、そしてどのように周りの人のサポートがあれば助かってうれしいのか?ということなど20項目ほどの質問にもお答えいただきました。
中川先生は「一般の平ですから…」といわれながらもすべてに即答されました。
今までお会いした方には「チョット確認してきますので…」と誰かに確認される方もいて、即答されたのはある小学校や高等学校の教頭先生、スイミングスクールの支配人、有料老人ホームの支配人など…つまり責任者レベルの方ばかりでした。
災害時の対応は、このように一般の社員さんや職員さんなどが何も見ずに頭に入っていて確実に行動出来ることが大切ですよね。(以前に病院の訓練で行動計画の書いたボードを首からかけて動いている看護師さんの映像を見ましたが…見なくてもいい状態じゃないと患者さんも不安ですよね…スピードが肝心なのに
)
兵庫県立神戸聴覚特別支援学校は保育・幼稚部・小学部・中学部・高等部があり、先生方は一括で意見が話せる空間におられます。震災が起こると状況に応じ地域の避難所に区分けで先生が駆けつけ目視で生徒たちの安全を確認に行きます。どの先生も保・幼・小・中・高の区別なく「全部自分の生徒」として担当区域に走ります。遠方からきて寄宿舎生活をされる生徒さんもいます。
先生方自信が被災された場合も学校の体制が複数人で生徒などに対応するため手落ちがないようにされています。(約100名の児童・生徒ですが、保護者の方もすべて顔が見える関係が出来ているそうです)
また、災害時に自動参集する被災レベルなども決まっているようです。
課題もちゃんと把握しておられました。
登下校時の生徒の(特に遠方から来る子どももいるので)学校外での災害時の対応や連絡の取りあいがどこまでできるかが課題でさらに取り組みを考えているそうです。
先日もあったJRの足場が崩れた列車事故など、状況が分からない突然の災害の時は「周りからの情報をどうとるのか?」について、学校では「自分たちで聞き取る」ことが指導されています。皆、メモとペンをポケットなどに携帯し、すぐに「筆談」ができるようになっているようです。なので、周りの人には「筆談に応えてくれること」が一番うれしいとのことでした。遠くに離れて声が聞こえないときには「手話」で何かお話しできるとさらにいいな~と思いました
状況を聞いて自分で判断することができる生徒たちの保護者は随分心強いことでしょう。
終業・始業を知らせるランプや緊急時を知らせるランプ(地震・火災を知らせる方法や不審者の侵入を知らせる方法もあり、生徒たちにもちゃんと伝わるようです)や放送が鳴ると、少しでも聞こえる生徒もいるし、聞こえない生徒には手話で伝える方法もとっているようです。
不審者が入ってきた場合「手話の合図」があり中に知らせることができるそうです
また、1月に行われる小・中学生の災害時の引渡し訓練を見せていただけるので勉強しに行きたいと思います。「保護者も仕事して大変だからね~」と、この訓練をしない学校もありますよね…「災害が起きた時がいきなり本番!」とならないようにしたいですよね。
私が車で到着した場所が学校の裏側で「あれ~?」と思っていると「この駐車場に入れとき!」と教えてくれる草むしりのお祖母さんや、「学校は見えてるんですけど入口がどう行けばいいのか…」と聞いたら「おばちゃんもそっちに行くからついておいで!」と道案内をしてくれる人もいました。実はこの道案内の方には障害のあるお孫さんがいて、「食べても食べても満腹にならない障害」があるそうです。いろいろ心配だと話をしてくれました。そして私の知っている知的障害のあるお子さんがとても素晴らしい能力を持っていて「将来は船の設計図を書いて船で世界旅行に行きたい!」と言っている話をしたら「頑張っている子もいるのね~」とチョット笑顔になってくれました。そして入口まで案内してくれると全く逆の方に戻っていきました(「同じ方向におばちゃんも行く」言うてくれてたのは…気遣いやったのね
)
きっとこの学校の地域の人との交流もしっかりされているから、ここに来る人の対応も地域の人が快くしてくれるんでしょうね。
もっと私自信が学んでいき、きっとそこには「共助」への知恵がたくさん含まれていることと思います。
災害時には「人のつながり」が心を癒してくれたり、力を与えたりもしてくれます。
障害があるから…と気を遣った話し方をするほうが、きっと障害をお持ちの方には迷惑なことなんだと、この学校に来て感じました。大きな声で「いただきます!」と言ってお昼ご飯を食べる子どもたちの声は(きっと幼稚部の子どもたちかな?)外にいる私までしっかり届きましたよ
こんなに力強い子どもたちが災害の時に困らないような「共助」の手がもっと広がるように私も役立つ情報として発信をしていきたいと思いました。そして「もっと健常者も頑張らなアカン!」と行動を起こせるような学びも伝えたいと思います
中川先生をはじめ、学校へ伺う時にお取次ぎいただいた先生の対応もとても機転がきいて素敵でしたし、みなさんがニコニコされていたことがとても印象的でした。

